2006年09月25日

祓ってもっとBaby

オレは心霊現象とかUFOとかいうものを信じていない。信じてはいないが、それ関連の本をよく読む。バカバカしくて面白いというのもあるが、ある意味夢があるような気もするのだ。
自縛霊だとか浮遊霊だとか、アダムスキーだとか葉巻型だとか、まあよく考えるもんだ。偉いよ。最近よく聞くのはオーヴ。飛蚊症みたいなモンが見えたら、それが霊の姿だってんだから面白い。あれって、空気中の埃がおこしている静電気じゃないのかと思うのだが、どうだろうか。

オレの店には時々ヘンな客が来る。どこの店にもヘンなのは来るのだろうが、客数の少ないオレの店にとっては「そんなのばっかり」感がある。パーセンテージの問題だろうな。
さて、以前来た女性。歳の頃なら35〜40歳といったところ。身なりに変なところはないが、挙動が変。店の中をキョロキョロ見渡しながら、いつまでもウロウロしている。本を探している様子でもないし、貧乏な古本屋を観察している、という風情でもない。目線が物の無いところ(天井や中空)をさまよっている。まるで、飛び回っている蠅でも追っているようだ。もし蠅だったら心配ない。この前ぶら下げた蠅取り紙が放って置いても仕事をしてくれるからな(その蠅取り紙は結構ナニな状態になっている)。それに食べ物屋じゃないから蠅がいたって余り影響はない。
「何かお探しですか?」
オレは面倒くさそうな客や、明らかに暇つぶしの客には積極的に声を掛けておくことにしている。そうして、用が無いならさっさと帰れという雰囲気を作るのだ。相手が中学生や高校生だと、もっと露骨になり、「用が無いなら出て行け」とはっきり言う。
女は、しばらくオズオズとしていた。
「あのね、あなた、この店には悪い霊が沢山いますよ」
「ワルイ=レイ?」(アムロ=レイじゃないの?)
「オーヴがいっぱい飛んでるんです」
「オーヴ?」
「オーヴ」
「で・・・?」
「お祓いをした方がいいんですよ」
「誰が?」
「あなたがです」
「何を?」
「悪い霊を祓うんです。このままだと危険です」
「誰が?」
「あなたがです!」
「お祓いなんか出来ませんよ」
「私たちがやってあげますよ」
「何を?」
「お祓いです!」
「・・・オーヴってナンですか?」
「浮遊霊のことで、悪いものが多いんです」
「おかしいな。霊なんて見たことないけどな」
「普通の人には見えないんです。私たちは特殊な修行をしたので見えるんです」
「見える人には影響あっても、見えない人には影響ないんじゃないですか」
「見えなくとも悪い影響が出ます」
「例えば?」
「体の調子が悪くなったり、取り憑かれたりするんです」
「なんか出鱈目なこと言ってません?」
「出鱈目なんかじゃありません!」
「好意で言ってくれているんですか?」
「もちろんです」
「さっき、私たち、て言ってましたけど、お祓いを頼むと、後で色んなヤツラが来てなんだかんだって何回も何回もカネを請求する人たちでしょ」
「そんな事はしません」
「大体ね、古本屋にある本てのは、死人の本棚から持ってきた本も沢山あってね、中には恨みつらみをそのまま引きずった本もあるし、思いが残っている本もあるしで、言ってみれば人の魂そのものなんだよ。そりゃ店の中に霊くらいいるんじゃないの。そんなのいちいち祓えるの?」
「でも、このままじゃあなた死にますよ」
「お祓いのセールスってのは、目の付け所はいいけど、相手みないと大怪我するよ」
「じゃ、あなたは死んでもいいんですね」
「あんたに言われることじゃないだろ。それとも、あんたがオレを殺すってことか」
「私たちなら出来ますよ!」
「なんだ。最初はオレの命を守るとか言っておいて、今度は殺すってか。なんなの、お前?何しに来たんだよ」
女はハッとして、無言のまま早足で店を出て行った。
ちょっといじめちゃったなあ、と反省した。
でも、最近はタチの悪い商売が増えたな。古本屋以外に、タチの悪い商売なんていらないのにな。
posted by 牢名主 at 02:01| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
季節の変わり目には、変なのが増えますから。

でも、年中では困りますねぇ。

とりあえず、ハエ取り紙を交換するところから修行して頂いてみては?
Posted by GREEN RIVER at 2006年09月25日 21:09
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